
RSウイルスワクチン妊婦の接種率が11.6%と低迷、認知度と費用負担の壁とは?2026年定期接種化へ
妊娠中の予防接種をためらう気持ちは、多くの妊婦さんが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。特にRSウイルスワクチンは2024年に承認されたばかりで、情報もまだ十分とは言えません。国立成育医療研究センターの最新調査によると、妊婦の接種率はわずか11.6%にとどまっています。なぜこれほど低いのか、その背景と今後の見通しを探ります。
妊婦のRSウイルスワクチン接種率: 11.6% ·
ワクチンの認知度(妊婦): 約60% ·
接種意向率(妊婦): 14.6% ·
推奨接種時期: 妊娠28~36週 ·
調査主体: 国立成育医療研究センター
スナップショット
- 2025年調査で妊婦のRSウイルスワクチン接種率は11.6%(国立成育医療研究センター(政府系研究機関))
- RSウイルスは生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%が初感染(選挙ドットコム(医療政策情報))
- 妊娠28~36週の接種で乳児のRSウイルス重症化を約70%予防(国立成育医療研究センター)
- ワクチンの長期的な有効期間(1シーズン以上)は未確認
- 接種率が上がった後の実際の減少効果はまだ検証中
- 一部の副反応(ギラン・バレー症候群など)の頻度はさらにデータが必要
- 2024年3月に日本でアブリスボ承認(ファイザー(製造元))
- 2025年4月、予防接種推進専門協議会が定期接種化を要望(予防接種推進専門協議会(専門医団体))
- 2026年4月から定期接種に移行予定 (ファイザー(製造元))
- 定期接種化に伴い自己負担が軽減される見込み (厚生労働省(規制当局))
- 過去妊娠時接種者やRS感染歴者の再接種も対象に含める方向(厚生労働省(規制当局))
- 海外では妊婦向けRSワクチンの定期接種化はまだないとされる(選挙ドットコム)
6つの主要項目から見る、RSウイルスワクチン「アブリスボ」の基本データです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ワクチン名称 | アブリスボ筋注用(RSウイルスワクチン) |
| 製造販売元 | ファイザー株式会社 |
| 対象者 | 妊娠28週~36週の妊婦 |
| 効果 | 乳児のRSウイルス重症化を約70%予防 |
| 副反応 | 注射部位痛、疲労、頭痛(頻度10%以上) |
| 費用(自己負担) | 約3万円(定期接種後は自治体により助成) |
この表が示すのは、接種対象や効果は明確でも、費用という壁が大きいという現実です。
RSウイルスワクチン 妊婦 いつが良い?
推奨される妊娠週数
国立成育医療研究センターの発表によると、RSウイルス母子免疫ワクチンは妊娠24週〜36週の接種が推奨されています。この時期に接種することで母体で作られた抗体が胎盤を通じて乳児へ移行し、生後6か月までの感染を予防します(国立成育医療研究センター)。
効果的な接種時期の根拠
妊娠28〜36週の接種では、生後90日以内の入院抑制効果が67%、360日以内でも33%維持されます(選挙ドットコム(医療政策情報))。
接種が早すぎると移行抗体の量が減弱する可能性があり、遅すぎると出産までに十分な抗体が移行しない恐れがあります。
タイミングは正に「窓」のようなもの。28週から36週の間に打つことで母子双方に最大のメリットが生まれます。この狭い期間を逃さないことが、効果を最大化する鍵です。
つまり、接種時期を正確に守ることが、ワクチン効果を最大限に引き出す条件といえます。
妊娠中のRSウイルスワクチン接種は必要?
ワクチンの効果と必要性
厚生労働省も定期接種を推奨しており、RSウイルスは生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ全員が初感染します(選挙ドットコム)。
メリット
- 乳児のRSウイルス重症化を約70%予防
- 妊婦自身の感染リスクも低下
- 日本産科婦人科学会も推奨
デメリット
- 自己負担が約3万円と高額
- 注射部位痛や疲労などの副反応
- 長期的な有効性データが限られる
接種すべき理由とメリット
日本産科婦人科学会は「妊娠中のRSウイルスワクチン接種は乳児の重症化予防に有効であり、推奨する」との見解を示しています。2025年1月の調査では、妊婦のRSウイルス認知度は23.8%とまだ低く、情報提供の重要性が指摘されています(国立感染症研究所(厚生労働科研費報告書))。
接種を検討する際は、メリットとデメリットを比較し、担当医と相談した上で判断することが推奨されます。
妊婦が重症化しやすいリスクは?
妊婦のRSウイルス重症化メカニズム
妊娠中は免疫系が変化するため、非妊婦に比べてRSウイルスで入院するリスクが高まります。特に喘息や心疾患を合併している場合はさらにリスクが上昇し、妊娠後期ほど重症化しやすいとされています(日本感染症学会(専門医団体))。
- 妊娠後期の呼吸器合併症リスク増加
- 基礎疾患(喘息・心疾患)があるとさらに危険
このリスク認識の欠如が、低い接種率の背景にある可能性があります。
RSウイルスワクチンは妊婦にどこに打つのか?
接種部位と方法
ワクチンは通常、上腕の筋肉内に注射します(筋肉内注射)。副反応として注射部位痛(頻度10%以上)、疲労、頭痛が報告されていますが、重篤な副反応は稀です(ファイザー(製造元製品情報))。
注意点と副反応
接種前に医師と十分に相談し、アレルギー歴などがある場合は注意が必要です。軽度の副反応は通常数日で治まります。
副反応のほとんどは軽度で一過性ですが、接種前に医師から十分な説明を受けることが大切です。不安な点は遠慮なく質問しましょう。
接種方法を理解した上で、医療機関での手続きを進めることができます。
RSウイルスワクチンの妊婦接種率はどのくらい?
国立成育医療研究センターの調査結果
2025年に実施された全国調査(2024年7月〜2025年8月出産の1279名女性対象)では、妊娠中RSウイルス母子免疫ワクチン接種率は11.6%(95%信頼区間9.8〜13.3%)でした(国立成育医療研究センター(政府系研究機関))。
接種率が低い要因
調査では主な課題として「費用負担感」と「情報不足」が挙げられています。妊婦の約60%がワクチンを認知しているにもかかわらず、接種意向は14.6%と低く、ギャップが浮き彫りになりました。
認知度はあっても接種に踏み切れない背景には、費用(自己負担約3万円)と「本当に必要か」という迷いがある。定期接種化で負担が軽減される2026年4月以降、この数字がどう変化するかが注目される。
このギャップを埋めるためには、制度の改善と同時に、正確な情報提供が不可欠です。
RSウイルスワクチンに関わる主な年表
- 2023年 – 海外で妊婦向けRSワクチン承認開始
- 2024年3月 – 日本でアブリスボ承認(ファイザー)
- 2025年 – 国立成育医療研究センターが接種率調査を実施
- 2026年1月 – 調査結果公表(接種率11.6%)
- 2026年4月 – 定期接種に移行予定(厚生労働省)
この流れを見れば、日本は2026年の定期接種化で世界に先駆けた政策を打ち出そうとしていることがわかります。
確認された事実と不明な点
確認された事実
- 妊婦ワクチンは乳児のRSウイルス重症化を予防する
- 日本での接種率は約11.6%
- 定期接種化が決定している
不明な点
- ワクチンの長期的な有効期間(1シーズン以上)
- 接種率が上がった後の実際の減少効果
- 一部の副反応(ギラン・バレー症候群など)の頻度
確認された事実からは有効性が明確な一方、不明な点については今後のデータ蓄積が待たれます。
専門家の見解
「接種率が11.6%と低いのは、認知度はあるものの費用負担や情報不足が原因」
国立成育医療研究センター(発表者)
「妊娠中のRSウイルスワクチン接種は、乳児の重症化予防に有効であり、推奨する」
日本産科婦人科学会(産婦人科専門医団体)
このデータが示すのは、認知度と実際の接種行動との間にある大きなギャップです。妊婦にとっての判断材料がまだ十分に整っていないことが、低い接種率の一因と言えるでしょう。
よくある質問
RSウイルスワクチンは妊婦以外も受けられますか?
はい、60歳以上の成人向けにも「アレックスビー」と「アブリスボ」が承認されています。妊婦用としてはアブリスボのみが対象です。
ワクチン接種後に授乳しても大丈夫ですか?
問題ありません。母体で作られた抗体は母乳にも移行するため、乳児への追加的な防御効果が期待できます。
RSウイルスワクチンの接種費用はいくらですか?
現状は自己負担で約3万円ですが、2026年4月の定期接種化後は自治体の助成により大幅に軽減される見込みです(選挙ドットコム)。
副反応はどのくらい続きますか?
注射部位痛や疲労感は通常1~2日で治まります。重篤な副反応は極めて稀です(ファイザー)。
妊娠中にRSウイルスに感染したらどうすればいいですか?
まずは産婦人科に相談してください。発熱や咳などの症状がある場合は早めの受診が推奨されます。重症化リスクは非妊婦より高いため注意が必要です。
アブリスボと従来の抗体製剤(シナジス)との違いは?
シナジスは乳児に直接抗体を注射する受動免疫で、月1回の投与が必要です。アブリスボは妊婦に接種して胎盤を通じて抗体を移行させる能動免疫で、1回の接種で済みます。
RSウイルスワクチンはインフルエンザワクチンと同時接種できますか?
同時接種に関する正式なデータは限られていますが、原則として別の部位であれば同時接種が可能とされています。医師に相談の上、判断してください。
妊婦のRSウイルスワクチン接種率が11.6%という数字は、認知度が約60%に達していることを考えれば、まだまだ低いと言わざるを得ません。費用と情報の壁が取り除かれる2026年4月の定期接種化は大きな転機となります。妊婦とその家族にとって、ワクチンを打つかどうかの判断は「知っている」から「打つ」へと変わるための後押しを、制度と現場の両方がどう提供するかが今後の鍵です。